思考と発想

大学3年くらいの授業だっただろうか。
KDDでレーザーの研究をしていた先生は、悩みに悩んだ結果、特急のグリーン車でひらめいてしまったそうだ。
ひらめいてしまったら、大変だ。この思考の連続性を何とか書き留めておかないと。がらがらだった車内の椅子を倒しまくって、書類を全面に広げたという。
中学の時、受験勉強で幾何の証明がどうしてもできずにあきらめて寝て、夢の中で思いついてしまったことがあった。この時の証明を覚えていたか忘れていたかは忘れてしまったが、覚えていたとしても慌てて書き留めていたと思う。夢の中で自分史上最高傑作の「月」という現代曲を作曲してしまったこともあったが、夢の中で夢と気づいて、音と楽譜の両面から必死に覚えようとして起きて結局失敗、ということもあった。
だから、何かまだ安定しない完全な論理性をとどめておきたいという気持ちがよくわかって、印象に残っている。物理的空間を十分に使った思考の整理、という面でも共感した。
この先生の言葉はひとつひとつが輝いていたと思う。自殺しそうになったころに、ひたすら太陽と反対側の青い空を追いかけて車で走った話、脳の思考分担とプロセスの図(?)が実は重なるという、仮説段階だがほんとうに重ねて見せてくれたこと。授業に対して自らフィードバックをした数少ない授業かもしれない。
繊細さの中に強さのある先生だった…が、何という先生だか忘れてしまったところが痛い。